2010-02-17 ■ 覆水盆に返らず 昔々あるところに、覆水と呼ばれるそれは親孝行な若者が―― 「もうやめね? オチが読めた」 「まあ聞け。言っとくが盆に帰省しなかったってオチじゃあないぞ?」 「マジで?」 覆水は盆にはちゃんと帰った。 さっそく覆水は腰の悪い親御のため、焚き木を拾いに山へ出かけた。 すると覆水は崖から落ちて生命活動を停止…死んだのだ。 「覆水死んじゃうの? そんなあっさり」 「人とはかくも儚い生き物よ…昨夜の大雨で地盤が緩んでたのだ。すなわち覆水は盆に帰らぬ人に」 「俺は帰省しないオチの方が好きだな…」 (暗転)